No.01:リノベーションマンション

No.01:リノベーションマンション
実践して分かる、知識のみでは知り得ない“想定外”の学び。

北九州市小倉北区に本社を置く不動産販売会社「有限会社ひまわり」との産学連携プロジェクトにより西日本工業大学の建築学科がマンションのリノベーションを手掛けることになりました。当該物件は北九州市若松区にあり、当然のことながら施工した居室は実際に販売されるため、コスト面も考慮した上で提案しなくてはなりません。そういった条件から「徹底して既存のものを再利用しつつも全く新しい空間に仕立てあげる」という方向性が定まりました。そこで、畳は表替えをし、襖は貼り替えて再利用することにしました。ただしデザインコンセプトに合わせ、襖は引き手と縁も取り替え、全く新しいものとして蘇らせます。襖は内部空間に占める面積も大きいため重要な要素ですので、かなりスタディをしました。

しかしながら、施工者とは十分に打ち合わせをしたつもりでしたが、襖は撤去されてしまい、提案は実現できませんでした。今回、この点は残念であり、今後の課題といえます。しかしながら実社会においてこのようなことは当然起こりうることで、そういった経験を学生のうちに体験できたことは、少なからず無駄ではないと思います。

本物件で最も特徴的な点は、屋根裏収納が設置されている珍しい物件だったということです。当然ながら学生たちもそこに目を付け、そのスペースを活かして屋根裏収納を屋根裏部屋として提案し、部屋には梯子を使って入るという遊び心を取り入れ、秘密基地のような雰囲気を演出しました。天井に組み込まれていた折りたたみの梯子は撤去し、その部分は照明ボックスとして再利用しました。照明は下の部屋に対するものだったのですが、実際に照明を灯してみると、下の部屋はもちろんのこと、屋根裏部屋側は床からの照明にもなり、思った以上に効果的な仕上がりとなりました。そして努力の甲斐もあり、こちらの物件は無事ご成約いただくことができました。

産学連携プロジェクトにより、これまで実現が難しかった実践的な取り組みが可能となり、参加した学生にとっては大変良い経験となりました。建築というものは当然ながら地球上の限られた資源を利用します。どの分野においても言えることですが、地球規模で環境保全をはかり、持続可能な社会を実現していくことが今世紀の緊急課題であることは周知のことです。建築界として果たせる取り組みの大きな柱として建築の長寿命化やストック社会の実現があげられます。大げさにいえば今回のプロジェクトはその取り組みの一環といえます。建築は最初から最後まで細かい所に気を配りながら進めていきますが、その背景には環境問題など様々な問題が隠れています。本プロジェクトから学生たち自身も広い視野で物事を考えることを身に付け、将来につながる何かを掴んだように思えます。


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