研究最前線 Vol.06:高城実

研究最前線 Vol.06:高城実

これからの自然エネルギー活用は
「地域の自立エネルギー」が主役です

我が国は、山が無数にあり、その森から生まれる湧き水が傾斜から流れる事による急流河川が数多くあります。 いわば、日本は「水の国」と言えるのです。その豊富な水を利用して発電するシステムは旧来から存在するのですが、発電システムを小型化し、水路や流水中に設置する必要のないサイフォン式導水路を用いたローコストな小型水力発電システムを新たに考案しました。普及が期待されるこの小型小水力発電システムの実用化に向けて、2つの地元地域(福岡県京都郡みやこ町、築上町)と連携し、いずれも小水力発電の公開実験を通して、身近な水資源を生かした再生可能エネルギーの魅力を地域の方々に直接感じてもらい、自然エネルギーの関心を喚起し、地球温暖化防止に寄与できる技術であることを理解してもらうことも本研究の狙いの一つです。また、「地域の自立エネルギー」として有効であることを研究を通して広めていくことを目標とし、貴重な自然エネルギーによる小水力発電電力の用途は公共施設の照明(樹木、看板、防犯灯)やポータブル蓄電池の充電(100Vの家電や電動工具が使用可能)および農業支援(山間部のIT農業のセンサの電源確保、給水、散水等)に有効です。

進化する小型水力発電システム

小型水力発電システムをさらに進化させ、効率化を図るために最適なインナーロータ型ディスク発電機を考案し、特許公開(2017-163813)されたこの発電機の内部のCEM(計算電磁気学)解析を行い、発電機内部の磁界分布をコンピユータで計算し、発電効率の良い発電機構造を追及しています。さらに、小水力発電システムの実用化に向けた企業の事業ニーズに応える研究を大学内で自由に行えるよう、学内小水力発電実験場(高城・野中研究室)を構築して、より軽量で高発電出力が得られる金属水車の羽板形状や角度等の実験的検討および導水路内の流れのSolidWorksシュミレーション実験も併せて実施し、どのような構成の導水路が発電に対して最適なのかなどを調べています。

自分で組み立てる「小型発電機」を目指して全国普及へ

この研究のこれからの課題として、これまでにない外径が600mm程度の小型水車の内部にインナーロータ型発電機を複数台組み込んだ低価格の一体型の小型発電システムの開発を進めています。そのように発電システムを一体化することで、量産することが可能になり、低価格化が実現し、一般家庭や農家の方々などにも浸透していくことを目標としています。その実現のためには、まずは企業とタイアップして、わすかな落差、流量の少ないcreek(小規模な河川、川、水路、小川等)で、地域の「地産自立エネルギー」として、24時間稼働させ、その発電性能等を実証させ、ゆくゆくはインナーロータ型ディスク発電機を複数台直接連結して、水車1台あたりの発電能力を200W以上に向上させていくことで小規模な水力を広範に利用する「D.I.Y(Do It Yourself)水力発電」を提唱し、地方自治体、水利権をもつコミュニティや旅館などから普及を図り、将来的にはD.I.Y量販店やネット販売によって量産・量販ができるようになるよう研究を続けています。


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