研究最前線 Vol.02:趙彦
物質面での豊かさだけでなく、心の豊かさを
追求していくことが重要
本研究室では、地方自治体の人口減少・高齢化などの問題に対して、より実社会で役に立てるコンテンツ開発を目指し、研究を行っています。21世紀における社会の目標・目的を考える時、物質面での豊かさだけでなく、心の豊かさを追求していくことが重要になってくると考えています。そういった背景から21世紀におけるコンテンツデザインの役割は、効率化や合理化のためだけに利用されるのではなく、人々に感動を与える仕事を創造し、人々が豊かな心を育むことの出来る社会を築いていくためのものであるべきだと考えています。
地域活性化の糸口になるデジタル・ミュージアム開発
心の豊かさを文化・芸術的な面から捉えた時、「デジタル・ミュージアム」というテーマが誕生しました。「デジタル・ミュージアム」とは美術館等に収蔵してある美術品や写真、歌、踊りなどの文化財産に関する画像・音声情報をデジタル化し、インターネット等を通じて発信する拠点を指します。地域文化を通じて地域活性化の糸口となることを目指しています。まずは、本研究室の学生をモデルに3D化の実験を行いました。立体の情報を取得するため、モデルを様々な方向からデジタルカメラで撮影を行い、その撮影データを3Dに変換するソフトウェアに取り込みます。3D化されたそのままの状態ではノイズが付いたままなので、最終的な仕上げとして一つひとつノイズを取り除いていきます。この工程により美術品等の様々な文化財産を3Dデータ化し、インターネットなどで発信することが可能となります。
研究課題及び今後の展開について
本研究室は3D立体映像の他にも、バーチャル・リアリティを用いたデジタル・ミュージアム(バーチャル・ミュージアム)の開発研究についても盛んに取り組んでいます。現在開発しているバーチャル・ミュージアムは、仮想現実の空間ではなく現実の空間を体験すること目指しています。しかしながら、まだいくつかの課題もあります。コンピュータグラフィックス(以下CG)と実写映像の合成、空間内では移動や行動、利用者の動作に応じてリアルタイムに変化や応答が得られるシステムなど問題は山積みですが、本研究室では空間感覚をCGやデジタル映像をコンピュータによる画像処理技術を駆使してこの問題を解決しようと試みています。今後はバーチャル・ミュージアムを通し、地域を再発見・発信し、地域間・世帯間の交流などができるように研究を進めていければと思っています。
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